【ゲネプロレポート】水に沈んだ「出雲」を舞台に、街にはびこる不正に挑む!ゼロテラ/001『クラド』

  • URLをコピーしました!

9月28日(水)から10月2日(日)まで六行会ホールで上演され、大好評のまま幕を下ろしたゼロテラ/001「クラド」。ゲネプロの様子をお伝えします!

目次

ゼロテラによる「逆2.5次元」

【出雲×任侠×逆2.5次元】
二次元と三次元の間に存在する、「2.5次元」と呼ばれる演劇。

諸説あれど、画面や紙の中にだけ宿る非実在の存在を、実在する人間の身体と心を依り代にし現実へと顕現させる演劇と定義して差し支えないだろう。
従来の「2.5次元」とは、平面なる“神聖”から立体なる“指向性”へのアプローチの呼称であった。
当プロジェクトは「その逆」を目指している。即ち「逆2.5次元」、三次元の立体から展開していく二次元の平面、或いはまた別の何か。

…難しい言い方は好きじゃない、シンプルに整えよう。
原典(オリジン)として、演劇作品をつくってみた。そしてまず、登場人物たちを二次元のイラストにしてみた。
三次元の演劇を起点として、此処からあらゆる方向や媒体に、観客の皆様を巻き込みながらプロジェクトが展開していくことを願って。

<2022年某日・赤星ユウ>

https://zeroterra.jp/crud/index.html#intro

ゼロテラは元劇団「レティクル東京座」の主宰、脚本家、演出家だった赤星ユウさんが劇団解散後に立ち上げた新たな団体です。モットーは「“刺さる”エンタメ、作ります」

今回の「クラド」はその旗揚げ公演となります。テーマは「逆2.5次元」
普通漫画やアニメ、ゲームといった「2次元」の作品を「3次元」である演劇に昇華するのが「2.5次元」です。しかしゼロテラが目指すのはその逆。「3次元」の演劇からさまざなま方向、あらゆるコンテンツに展開していく新しいプロジェクトです!

「出雲水都」で街の不正に挑む

かつて隠世(かくりよ)の浜と呼ばれるほど美しき奇観を誇った出雲の地は、
度重なる再開発の末に「水」害に吞み込まれ、
やがてバブル崩壊と共にゴーストタウンと化した。
いつしか其処は黒社会の無頼漢たちが闊歩し、
毒々しくも絢爛豪華なネオンで水に沈んだ街は妖しく照らし出され
【出雲水都-イズモスイト-】として新たに生まれ変わった。
エリート街道を突き進む野心家の公職員・新國(にっくに)アラトは
官庁の不祥事に巻き込まれる形で首都から出雲水都へ左遷され、
自暴自棄になりながらも上司から仄めかされた「【出雲水都】に蔓延る不正の温床を潰せ」
という密旨を胸に、再び首都へと返り咲くことを誓う。
その最中リゾートカジノ【クラド】を仕切るボスである
掴み所のない青年・天正(てんしょう)ユキこと〝テネシー〟と出逢い
〝ニック〟というあだ名を授けられる。
【出雲水都】の解体を画策する役人と【出雲水都】の繁栄を守り抜くと抗う任侠。
華々しいエリートの道を歩む者と、地獄の底で這いずり進む者。
それぞれの絶対に交わらない信念の壁の厚さを意識した時、
二人は自身がそれぞれから最も遠い者だと自覚する。
何故、二人は出逢ったのか。そして対立し、傷つけ合うのか。
そこには遥か古(いにしえ)の時代、出雲の海底に封印された
人類史上最凶の強大なる存在が深く関わっていた。
「始まり」と「終わり」、造られた偽りの運命が【出雲水都】を越え
日本全体を暗く巻き込んでいく。
悪人は何故この地へ引き寄せられる?国は何故この地の破壊を求める?
誰が沈み、誰が浮かび上がるのか。
様々な思惑と欲望が顕世(うつしよ)と幽世(かくりよ)の海を越え
神代から続く泡沫の煌めきを贄とする祝祭が今、始まる。

https://zeroterra.jp/crud/index.html#story

水害によってその美しい姿を失った出雲。やがて「出雲水都」との名がついたそこは、黒い社会に生きるものたちの街となりました。そんな街で役人と任侠という正反対の2人が出会い、やがて対立していきます。

辺境の地で行われるのは、「メ神の祝祭」

オープニングの新國とテネシー

物語は、「新國アラト」が東京から島根の辺境の地、「出雲水都」に向かうところから。

経済産業省の官僚である新國は、他人の不祥事に巻き込まれる形で島根の「出雲水都」へと左遷されます。出雲水都へ着くと、辺境の地にも関わらず多くの人が訪れていることに驚く新國。そんな中港で歌を歌う青年を見掛けます。

満月の夜、港で本を読むテネシー

一方、北九州からやってきた「定直」「新堂」という2人組。彼らは大金を払い、島の巫子である「日ノ出モノザネ」から”メ神”の祈祷を受けます。2人がやってきたネオン街にあるそこは、出雲水都のリゾートカジノ「クラド」。ディーラーである「ケイリー」に促されギャンブルを行い「クラド」の奥へと足を踏み入れます。

ケイリーにギャンブルの説明を受ける進堂

島の中で、法律で禁止されているカジノが普通に存在していることに驚きを隠せない新國。そんな島の特区長である「八戸掛(やとかけ)キュウセン」は、「ここは日本であって日本でない、国が法整備を放棄した街」だと説明。さらにはいま、この街は夏から秋にかけて「メ神の祝祭」が行われており、誰がクラドのメ神の恩恵を受けられるのか=最もギャンブルで稼ぐ者は誰か、を決める最中だと教えられます。そしてメ神の恩恵を受けたという八戸掛とのギャンブルに負けた新國は一文無しに。

キュウセンとギャンブルを行う新國

あてもなく海辺を彷徨っていた彼の前に、1人の青年が現れます。彼は新國が島に来た時に港で歌っていた青年でした。新國に「ニック」とあだ名をつけ、自分のことを「テネシー」と名乗った彼は、ニックにあるコインを手渡します。そのコインは、何度も水害に見舞われた出雲の海の底から流れ着いた金の塊。お守り程度にとコインを託し、テネシーはどこかへ行ってしまいます。

海辺で出会うニックとテネシー

朝、身に覚えのない場所で起きるニック。そこには、島に着いた時に出会った男性、「真琴ジン」の姿が。ニックを助けてくれた真琴は自分が10年前からこの島にいて、そして出ることができないと語ります。真琴から詳しく「出雲水都」のことを聞き、ニックはこの島の本当の姿を知ることに……。

真琴から資料をみせてもらうニック

そして再び「クラド」へ訪れたニック。そこで知らされたのは謎めいた「出雲水都」、そしてテネシーの正体。

対峙するニックとテネシー

正反対の2人、互いの信念がぶつかり対立するとき、一体この島で何が起こるのか。ニックとテネシーにふりかかるその結末は、いかに…… 。

まるで2次元から飛び出してきたようなキャストをご紹介

今回出演されたキャストのみなさんをたっぷりご紹介してきます♪

千葉瑞己さんが演じたニックこと新國アラト。経済産業省の官僚として出世の道を歩いていましたが、自分のせいではない不祥事に巻き込まれ、左遷されてしまいます。その知性と野心を出雲水都の中でも活かしていきます。

ニック【新國アラト役】:千葉瑞己さん

テネシーこと天正ユキを演じたのは鈴木遥太さん。中性的な見た目と、どこか掴みどころのない雰囲気をもっています。

テネシー【天正ユキ】役:鈴木遥太さん

黒木文貴さんが演じたのは出雲水都の特区長であり、八戸掛組の組長でもある八戸掛キュウセン。誰に対しても敬語で話しますが、口調とは裏腹に冷徹な性格です。

八戸掛キュウセン役:黒木 文貴さん

カジノのディーラーであるケイリーは斉藤秀翼さん。美しい見た目を持ち、仕草も女性のよう。今回の舞台で最も謎の多い人物であるといえるでしょう。

ケイリー貴井ショウカク:斉藤 秀翼さん

氏家蓮さんが演じたのは出雲水都を彷徨う男性、真琴ジン。実はとある経歴を持っていて、過去にキュウセンと因縁が!?

真琴ジン役:氏家 蓮さん

松本旭平さんが演じた定直は、北九州の任侠「五狼会」の会長。かつてはキュウセンの右腕として活躍していましたが、八戸掛組を抜け今は新たな拠点を築き上げた人物。なにやら真琴やキュウセンと確執があるようで……。

定直役:松本 旭平さん

そんな「五狼会」の舎弟頭である進堂を松原凛さんが演じました。ギャンブル中毒だった自分を救ってくれた定直のことを崇拝し、彼とともに出雲水都までやってきました。元気いっぱいな明るいキャラクターです。

進堂役:松原 凛さん

そして笠原織人さんが演じた九十二代目・日ノ出モノザネ。出雲に古くから存在する日ノ出一族の九十二代目であり、大金を引き換えに巫子としてクラドに訪れた人々に対し、「御祈祷」を行います。意味深なことを教えてくれる彼。実は、隠された顔を持っています。

九十二代目・日ノ出モノザネ役:笠原 織人さん

アクションも多く、ドキドキする展開がたくさん!個性豊かなキャラクターたちが、出雲水都を舞台に活躍されました。

役どころや意気込みをご紹介!

前列左から、黒木 文貴さん、千葉 瑞己さん、鈴木 遥太さん、斉藤 秀翼さん
後列右から遠藤 巧磨さん、笠原 織人さん、 藤原 悠亮さん、氏家 蓮さん、松本 旭平さん、 神山 慎一郎さん、松原 凛さん、稲葉 葉一さん

キャストのみなさんと脚本・演出の赤星ユウさんからのコメントです。

ニック【新國(にっくに)アラト】役:千葉瑞己さん

新國アラト役、千葉瑞己です!!
今回、主宰である赤星ユウさんの元でまたお芝居が出来ること、本当に嬉しいで
す!!
以前、お世話になった時から魅了され続けている「赤星ワァルド」を生きられること、そ
して皆さんにお届けできること!!今からワクワク・ドキドキが止まりません!!
観てくださる皆様にも、きっとワクワク・ドキドキしていただけると思います!!
ぜひ「出雲水都」へお越しいただき、我々と「ご縁」を繋いでいただけたら嬉しいで
す!!
どうぞよろしくお願い致します!!

テネシー【天正(てんしょう)ユキ】役:鈴木遥太さん

この度、天正ユキ【テネシー】役を演じさせていただきます鈴木遥太です。
遂に『クラド』の世界を皆さんと共有できる日が近付いてきました。お客様にどういった
反応をいただけるのか、何を感じてもらえるのか、ドキドキとワクワクで地に足がつき
ません。
でもそれ以上に、絶対いい作品をお届けできるという自信もあります…!!
12 人の実力と魅力に溢れたキャストの先輩方と、演出・脚本の赤星ユウさんを始め
とするプロフェッショナルなスタッフの皆様と共に。
千秋楽まで誰一人欠けること無く、お客様も含め関わった方がこの作品を誇りに思え
るように、尽力して参ります!

ケイリー【貴井(きい)ショウカク】役: 斉藤秀翼さん

ケイリー(貴井ショウカク)役の斉藤秀翼です。
昨今とても流動的な世の中が続いている中、今作品が上演されること、またそこに携
われることを心より嬉しく思うとともに、どうか無事に初日の幕が開き、全公演を駆け
抜けられることを願っています。
お客様にも、それぞれの状況がある中、貴重なお時間を頂戴します。この作品と時間
を過ごすことを選んでいただけた一人一人の方に、価値あるお時間を届けられるよ
う、一ヶ月間の稽古にはじまり、一つ一つの公演を精一杯務めて行きたいと思ってお
ります。
座組の雰囲気もとても良く、それぞれが経てきたものを出し合い、作品を作っておりま
す。どうか、全ての御縁が、良き形で、最高な景色へと繋がってゆくことを信じ、日々
を過ごしたいと思います。
本番をお楽しみにお待ちください!

八戸掛(やとかけ)キュウセン役: 黒木文貴さん

八戸掛キュウセン役の黒木文貴です。
キュウセンは、自身が率いる『八戸掛組』の組長。
今回、設定としては僕の中で初めての役どころなので、チャレンジ精神をもって日々
の稽古に臨んでいます。
『観る人によって受け取る印象や想像に”幅をもたせる”こと』

これはどの作品でも心がけていることですが、今作では特に多く、濃くしていますの
で、皆さんに様々な視点からその余白をお楽しみいただければ幸いです。
今作のテーマの一つでもある『始まり』と『終わり』。
ゼロテラ/クラドの第一回目公演(始まり)となる今回、素晴らしい作品にするため尽力
したいと思います。
それでは皆様、【出雲水都-イズモスイト-】でお会いしましょう。

真琴(まこと)ジン役 : 氏家蓮さん

このたび、真琴ジン役を演じさせていただきます氏家蓮です。
赤星ユウさんの手掛ける逆 2.5 次元プロジェクト、
独創的な世界観、熱い想いを秘めているこの作品に関わることができてとても嬉しい
です。
出雲で起こる水害を題材に、縁結びのお話、因縁の関係、始まりと終わり、本当にい
ろんな思想や思惑が交錯しています。
僕が演じる真琴ジンは、不器用でまっすぐな男。
過去の出来事や繋がりによって複雑な苦悩と葛藤を持ち合わせており、日々己と戦
っています。
主人公の新國アラトとの出会いによって、真琴ジンの運命の歯車も変わったように感
じています。
そして真琴ジンがいることで、物語も彩られていく、そんな影響を与えられたらなと思
います。
全ての謎が解けるのはもっと先のお話かもしれません。
素敵な作品を紡いでいけるように、僕の生き様も精一杯残していきたいと思います。
皆様応援の程よろしくお願いいたします。

定直(さだなお)役: 松本旭平さん

定直役の松本旭平です。
今回、記念すべきゼロテラ創立の舞台クラドに出演する事が出来て心より嬉しく思い
ます。
出雲水都が舞台となっており、出雲と言えば「縁」
このキャストスタッフが揃ったのも「縁」が繋がったのだと思います。
友情、人生、復讐、復興
様々な感情が交錯するこの作品。
一つ一つ丁寧に作り上げていきます。どうぞご期待下さい。
皆様のご来場心よりお待ちしております!!

進堂(しんどう)役: 松原凛さん

はじめましての方ははじめまして!この度、進堂役を務めさせていただきます、松原
凛です!!本作の独特な世界観の中で、進堂くんは作中トップクラスで明るいキャラ
クターなので、元気いっぱい、熱量を持って演じられるよう、進堂くんと向き合い、精一
杯頑張ります!ストーリーを通して、いいアクセントになりつつ、皆様に愛されるキャラ
クターを目指していきます!!現在絶賛稽古中でして、素敵なキャストの方々の中で

のびのびと楽しく稽古をさせていただいております!キャスト・スタッフ一同、一丸とな
って皆様に楽しんでいただけますよう、最高の作品をお届けいたしますので、どうぞよ
ろしくお願いいたします!!劇場でお待ちしております!!

九十二代目・日ノ出(ひので)モノザネ役: 笠原織人さん

皆様、初めまして!出雲日ノ出教、九十二代目・日ノ出モノザネを演じさせていただきま
す笠原織人と申します。
今回、巫子の役に挑戦させていただくにあたり様々な歴史の文献を読ませていただき
ましたが、調べれば調べるほどクラドの世界との繋がりが”縁”となって繋がっていて、
舞台を観ると更に深く不可思議な出雲の世界に没頭することが出来ます。
登場するキャラクターも一人一人に縁の物語が見え隠れしていてそれぞれの人物の
バックボーンを覗いてみるのもクラドの世界を知る重要な手がかりになってきます。
神代の世界のお話と思いきや、現代社会にも繋がるような人間の人間らしさも作中に
散りばめられているので、1 回だけでなく 2 回、3 回と観ていただきクラドの世界を堪
能し尽くしていただけたら嬉しいです。

脚本・演出 赤星ユウさん

ゼロテラ代表、そして今作『クラド』の脚本・演出を担当しています赤星ユウです。
この作品は、黒社会に支配された不可思議なネオン街【出雲水都-イズモスイト-】に引き寄せ
られた男たちが「願い」「祝祭」に翻弄されながらも歩みを進め交錯していく物語です。
私事ですが、2012 年から続けていた劇団を 2021 年に解散後、新たに設立した団体の第一回
目の公演となります。
何かが始まり、終わっていく。何かが終わり、始まっていく。言ってしまえば至極普遍的なテー
マを、自分らしく、刺激的に彩れたと思います。
ゼロテラのモットーは「“刺さる”エンタメ、作ります」。
自分の中に渦巻く混沌という刃の先端を、研ぎ続けた愛と悪意の狭間の感情を、いま再び世
界に向ける行為をどうか赦してください。

会場は六行会ホール

会場は六行会ホール。京浜急行品川駅から、普通列車で二駅行った新馬場駅の北口から徒歩3分の位置にあります。
座席もゆったりしていて、ロビーも広くきれいな劇場です。傾斜もあるので後ろの席でも見やすく、臨場感を味わえました。

公演情報

舞台『ゼロテラ /001「クラド」』
脚本・演出: 赤星ユウ(ゼロテラ)
【日程】
2022 年
9 月 28 日(水) 18:00
9 月 29 日(木) 13:00 / 18:00
9 月 30 日(金) 13:00 / 18:00
10 月 1 日(土) 13:00 / 18:00
10 月 2 日(日) 12:00 / 16:00
…全 9 ステージ
※受付開始・ロビー開場は開演 1 時間前、客席開場は開演 45 分前です。
※上演時間は約 2 時間を予定しています
【場所】
六行会ホール
〒140-0001 東京都品川区北品川 2-32-3
【チケット】
一般席:8,500 円 (全席指定・税込)
【CAST】
ニック【新國(にっくに)アラト】: 千葉瑞己
テネシー【天正(てんしょう)ユキ】: 鈴木遥太
ケイリー【貴井(きい)ショウカク】: 斉藤秀翼
八戸掛(やとかけ)キュウセン: 黒木文貴
真琴(まこと)ジン : 氏家蓮
定直(さだなお): 松本旭平
進堂(しんどう): 松原凛
九十二代目・日ノ出(ひので)モノザネ: 笠原織人
テラダイバー: 神山慎一郎、遠藤巧磨、藤原悠亮、稲葉葉一
企画・製作:ゼロテラ
©Zeroterra G.K. /「クラド」

ゼロテラによる「クラド」の物語は、まだ始まったばかり。今後どうなっていくのか、目が離せません!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次
閉じる